猫背のストレッチをやっても、三日で戻ってしまう理由
「ストレッチはやっているんです。でも、三日で戻るんですよ」
roots でいちばんよくお聞きする言葉です。動画を見ながら毎晩やってみた、雑誌に載っていた体操を続けてみた。それでも、気づくと背中が丸まっている。自分の続け方が悪いのだと思っていらっしゃる方が、本当に多いです。
でも、たいていの場合それは続け方の問題ではありません。順番の問題です。
ストレッチは「ゆるめる」だけの作業です
猫背のストレッチと呼ばれているものは、ほとんどが胸の前や肩の前を伸ばす動きです。長年前に丸まっていた側を、引き伸ばして開いてあげる。たしかにその瞬間は、胸が開いて呼吸が入りやすくなります。
ただ、そこで終わっている限り、やっているのは「ゆるめる」までです。ゆるめた状態を保つ作業が、まだ残っています。
ゴムを引っぱって離せば、元に戻ります。引っぱること自体は悪くありません。離したあとに何もしていないだけです。
身体は「いつもの位置」を覚えています
10年、20年と続けてきた姿勢は、筋肉にとっての「初期設定」になっています。ストレッチで一時的にその設定から外れても、意識がほかへ向いた瞬間、身体は覚えている位置へ戻ります。
これは意志の力とは関係のない話です。無意識でやっていることを、意識で押さえ続けるのは無理があります。「背筋を伸ばさなきゃ」と一日中考えていられる人は、たぶんいません。
だから必要なのは、意識しなくても伸びている状態のほうです。そのためには、伸びた背骨を支える筋肉が要ります。
50代からは「保つ」がいちばん抜けやすい
筋肉は使わなければ落ちていきます。とくに背中側、身体の後ろ側の筋肉は、日常生活ではあまり出番がありません。前にかがむ動作は毎日たくさんしますが、後ろに引く動作はほとんどしないからです。
50代、60代の方の身体を見せていただくと、硬さより先に「支えが足りていない」ことのほうが目立ちます。ゆるめる材料は十分あるのに、保つ材料が用意されていない。だからストレッチだけが空回りします。
roots が姿勢改善と体幹トレーニングをセットにしているのは、この順番のためです。ゆるめて、整えて、保つ。三つ目まで行かないと、身体は覚えてくれません。
自宅でできる、いちばん簡単な「保つ」練習
道具はいりません。壁さえあればできます。
- 壁に背中を向けて立ちます。かかと、お尻、背中、後頭部を壁につけます
- 後頭部が壁につかない方は、それが今の位置です。無理に押しつけないでください
- その状態で、両腕を「バンザイ」の形に上げて、手の甲を壁につけます
- 手の甲を壁から離さないまま、ゆっくり肘を曲げて下ろします。5回
腰が壁から浮いてしまう方は、膝を軽く曲げてください。痛みが出る範囲まではやらないでください。
やってみると、思ったより手の甲が壁につかないはずです。それが今の胸と背中の状態です。まず現在地を知ることが、この動きのいちばんの目的です。
1日5回で構いません。回数より、毎日続くことのほうが大事です。
それでも変わらないと感じたら
自宅でできることには限りがあります。どこが固まっていて、どこが働いていないかは、自分では見えないからです。とくに背中は、自分の目で確認できない場所です。
roots では、まず横から写真を撮って、いまの姿勢を一緒に見るところから始めます。そのうえで、その方に必要な順番を組み立てます。ゆるめる比重が大きい方もいれば、保つ練習が中心になる方もいます。
「何から始めればいいのか分からない」という状態のまま、自己流で時間を使ってしまうのがいちばんもったいないと思っています。
まとめ
- ストレッチだけでは「ゆるめる」までで終わっている
- 身体は長年の位置を覚えているので、支えがなければそこへ戻る
- 50代からは、硬さより「支えが足りない」ほうが問題になりやすい
- ゆるめる → 整える → 保つ、の三つ目まで行くと定着しやすくなる
三日で戻るのは、あなたの続け方が悪いからではありません。順番がひとつ足りていないだけです。
